今回は「企業が炎上を予防」するために必要なことを解説します。
ツイッターなどのSNSは、いまやプロモーションや消費者との直接交流ができる便利なツールとして活用している企業も少なくありません。
しかし、企業の顔として運用している分、安易な投稿で企業存続の危機にまで至るケースもあるなど、いわゆる炎上事件も少なくないのが実情です。
そこで、企業が炎上を防止しつつSNSを有効活用するために注意すべきポイントを抑えておきましょう。
また、万が一企業が炎上してしまった際の対策についても詳しく解説します。
目次
企業側はSNS炎上の原因を理解することが対策の第一歩
そもそも、なぜ企業活動に重大な影響を及ぼすほどの炎上が起きてしまうのでしょうか。
企業がSNSにおける炎上を予防するには、そのメカニズムを理解することがまず第一歩です。
いつでもどこでも使える気軽さが罠
エックス(旧ツイッター)、インスタグラム、フェイスブックなど…SNSは今、世界中で大流行しています。
スマートフォンが普及したことで、私たちはスマートフォンを介していつでも読み書きができ、映像や画像などのコンテンツを楽しむことができ、誰でも世界に向けた発信者になることができます。
しかし、その気軽さこそが罠なのです。
自分の承認欲求を満たすため、中には平気で嘘を投稿する人も存在します。
そしてそこには、罪の意識さえないことがほとんどです。
しかし、内容が嘘か真実かに関係なく「これはひどい」というような情報ほど拡散されるのも早いということはけっして忘れないようにしましょう。
人を罰したい大衆心理が炎上を引き起こす
SNSを利用している人の中には、ストレス発散のために利用している人も少なくありません。
グルメやペットの話題でもある程度のストレス解消にはなりますが、もっと興奮できる方法に取り憑かれているような人もいます。
正義の立場で悪者を叩くのは、誰でも気持ちがいいものですが、そういったことが手軽にできるのもSNSの特徴の一つです。
そうはいっても、そこに本当の正義があるかどうかは多くの場合問われません。
たとえネット上ででっちあげられた悪者だったとしても、蟻のようにむらがって正義を振りかざすSNSユーザーは多いものです。
企業としては、いかに悪者に仕立て上げられないようにするかをつねに注意する必要があります。
誰がいつ炎上を起こそうとしているのか
炎上というのは100%、誰かが発した言葉が引き金となり起こっています。
日常的に炎上を起こしそうな人の動向に注意しておくのも、SNSでの炎上を未然に防ぐ上で非常に重要です。
そもそも炎上というのは、どういった人によって引き起こされるのでしょうか。
企業などの関係者の投稿による炎上
ニュースで度々取り上げられることもあるように、社員、アルバイトを問わず、社内スタッフの書き込みが原因の炎上は絶えず存在します。
過去にも様々な事例があり、なかには企業が存続の危機にまで陥ってしまった例もあります。「ゴルスタの炎上例」
公式アカウントだけではなく個人アカウントが発端という例も多く、非常識な発言・行動、暴言、他者批判、自社批判、顧客批判など、あらゆる炎上のパターンが揃っているといっても過言ではありません。
しかし、共通しているのは、企業名、個人名などが特定できる個人情報を公表しながらSNSを利用しているスタッフが原因になっているという点です。
炎上予防のためにはスタッフ一人一人のネットリテラシーを向上させるような教育も必要なのです。
ユーザーによる炎上
一般消費者による投稿が炎上の原因になることも、もちろんあります。
その際、インパクトのある画像や映像が添付されていると、瞬く間に拡散されてしまいます。たとえ本当のことではなかったとしても、それを釈明してかえって火に油を注いでしまうこともあります。そうならないためにも、炎上はできるだけ早く鎮火することが非常に重要なのです。
新サービスのスタート時は要注意
インターネットへの書き込みは24時間365日、いつでもどこからでも可能です。
炎上の火種はどこにでも転がっていると言えます。
そのため、ネットを常時監視することも大事ですが、炎上しやすいタイミングに気をつけることも予防の秘訣です。
たとえば、新サービスをスタートさせようというような時には特に注意しなければいけません。
とくにセキュリティ面の問題が発覚してしまった場合には、一般ユーザー、専門家などを含め多くの人が反応してしまうことになります。ポジティブに考えるならば、バグチェックをユーザーがしてくれたとのだととらえることもできます。
もし、問題が発生してしまった時はいち早く改善し、ブランドイメージを損なうことのないようにしましょう。
企業がSNS炎上を対策・予防する方法
以上のように、炎上はいつ誰がどのようなタイミングで起こすかわかりません。
いずれにせよ、炎上を予防するにはしっかりとしたリスク対策が必要です。
ソーシャルメディアポリシーの徹底
ソーシャルメディアポリシーとは、企業がスタッフに向けてSNSなどを利用する際の指針を定義しているガイドラインのことです。
企業の公式アカウントやブログをどう運用するかに主眼がおかれることがほとんどですが、ここで個人のSNS利用についても企業としての考えをしっかりと打ち出しておくことがまず大事です。
その上でそれをスタッフに周知させ、もし違反した場合にはどのようなペナルティがあるのかも明らかにしておきましょう。
SNSアカウントの運用ルールの策定
SNSアカウントの運用ルールの策定は、企業や個人がSNSを活用する際に重要なステップです。適切なルールを設けることで、不適切な投稿や炎上リスクを減らし、効果的なコミュニケーションを図ることができます。
例えば、自社SNSアカウントの使用目的、投稿の種類、対象とするオーディエンス、許容される言論の範囲などを明確にします。特定の政治的、宗教的、性的な表現や、誹謗中傷、差別的な表現などを禁止する方針を設けることで、問題の発生を防ぎます。
運用ルールは定期的に見直しを行い、時代の変化や社会の動向に合わせて更新することも重要です。また、ルールを遵守するための教育やトレーニングを行うことで、全体の理解を深めることができます。
有人による監視
炎上を予防するひとつの方法として、有人による監視という手段があります。
悪口なのか、きつい言葉を使っていてもじつは褒めているのかなど、微妙な表現を見分けることができるのは有人監視ならではです。
また、どこに投稿されたかにより削除依頼の方法も違ってきますが、それぞれのケースに臨機応変に対応できるのも有人監視ならではのメリットでしょう。
しかし、そういった作業を24時間体制で行うにはどうしてもコストがかかります。
そもそもそこまでの仕事ができるようになるまで人材を育成するのは、時間も費用もかかることです。
費用対効果を考えると、外部の有人監視サービスを利用するのが賢い選択といえるのではないでしょうか。
有人監視についてメリットとデメリット特集があります。
是非参考にしてみてください。
無人による監視
インターネット上の投稿を四六時中、網羅的に監視するには、プログラムを用いるというのも一つの方法です。
あらかじめ最初に企業名、商品名、NGワードなどをインプットしておくことで該当する書き込みを自動的に抽出してくれる大変便利なものですが、やはりどうしても精度は有人監視には及びません。
ただし、コストは有人監視よりはかからないので、とりあえずネットの監視とはどのようなものなのかを試してみたい企業などにもおすすめです。
無人監視の特徴を過去に特集しています。参考にしてください。
信用できる業者を選ぶ
有人監視、無人監視のいずれにしても、炎上予防のために外部サービスを利用することを検討してみるのもよいと思います。
しかしながら、監視サービスと一口にいっても、さまざまなものがあります。
中には自ら炎上させながら消火しているという、マッチポンプを演じる悪徳業者もいます。
必ず信頼できるサービスを選択するようにしなければ、本来起きるはずではなかった炎上まで演じられてしまうわけですから、くれぐれも注意するようにしてください。
企業のSNSが炎上してしまった時の対策法
企業がSNSを運用している際、万が一炎上してしまった場合は落ち着いて冷静に事態や原因を判断し対処することが重要です。
拡散力の強いSNS炎上では、「いかに早い段階で適切な対策法が取れるか」が沈静化するカギになります。
しかし、スピードを重視しすぎたために、安易にアカウントやコンテンツを削除してしまったり、中身のない謝罪文を出してしまっては意味がありません。
炎上の原因をしっかり見極めないまま謝罪文を出してしまうと、ユーザーとズレが生じて2次炎上を起こしてしまうリスクが高まります。
炎上を複雑化させないためには、解決の目途が立つまで一旦ソーシャルメディアの活動を停止させて様子を見ることも大切です。
ソーシャルメディア運用担当者は、炎上に気づいたらいち早く上司や必要な部署に炎上の事態を正直に報告・相談しましょう。
弁明や謝罪など今度の対応策に関しては、担当者ではなく会社が判断し対応してください。
企業の一貫した誠実な対応は、ユーザーの信頼につながります。
企業の炎上対策まとめ
どこかの企業がインターネット上で炎上しているのを他人事として眺めている時にはわかりませんが、渦中の人になってみると本当に大変なものです。
沈静化させるのは並大抵の努力ではできません。
できれば炎上は避けたいところですが、このようなSNS全盛時代の中にあっては、すべての企業が危険にさらされているといっても過言ではありません。
そうとはいっても、炎上を恐れてまったくインターネットで発信しないというのも賢い選択ではないでしょう。
販売促進ツールとしてこれほど役立つものはありませんし、消費者動向をダイレクトにつかむこともできるからです。
常時監視による迅速な対応で炎上を予防しながら、ビッグデータをプロモーションやマーケティングに活用していく企業こそ、これからの時代を生き抜くことができるといえるのではないでしょうか。