YouTubeは、米Google社が運営する世界最大規模のオンライン動画共有プラットフォームで、誰でも簡単に動画を投稿・閲覧することができます。
他のSNSと比べて、ユーザーの年代が幅広く、現代の娯楽の中心となっていると言えるでしょう。テレビよりもむしろYouTubeで娯楽の時間を過ごしているという人も少なくありません。
その一方で、悪質な動画やコメントが増え、社会的な問題となっています。
否定的な言葉や誹謗中傷によって、嫌な思いをしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。心ない言葉を浴びせられると、精神的に追い詰められてしまいますよね。
YouTubeは不特定多数に見られてしまうので、そのような誹謗中傷の動画やコメントを削除したいと思っている方も多いはずです。
さて、本記事では、YouTube内の動画やコメントで誹謗中傷、名誉やプライバシーの侵害をされた場合に、動画やコメントの削除はできるのかどうかについて解説していきたいと思います。
YouTubeが定めるコンテンツ削除の基準
YouTubeでは「コミュニティガイドライン」によって、すべてのユーザーは他者に対する誹謗中傷や名誉毀損を目的とした嫌がらせ動画やコメントを投稿することが禁止されています。
コミュニティガイドラインに違反していると判断されれば、削除してもらえる可能性が高いでしょう。
また、誹謗中傷だけでなく、あなたが映っている動画を勝手にアップされたり、顔写真、音声、フルネーム、政府発行の個人番号、銀行口座番号、住所、メールアドレスなど、個人を特定できる情報が晒された場合は、YouTubeの「プライバシーガイドライン」の違反にあたり、削除の対象となります。
YouTubeで誹謗中傷をされた動画・コメントを削除したい
YouTube上で誹謗中傷を受けて、それを削除したいとなった場合、どのような対応ができるのでしょうか。
動画の投稿者と交渉する
投稿者が概要欄などに自身の連絡先を公開している場合は、直接コンタクトを取り、削除を依頼することも可能です。YouTubeでは、まず投稿者に直接コンタクトをとって削除依頼を行うことが推奨されています。
しかしながら、弁護士を通さずに交渉を行っても、まともに取り合ってもらえないことが多く、削除の成功率は低いと言えるでしょう。また、投稿者は悪意を抱いて投稿を行っている可能性が高いので、削除を促されたことに逆上してしまうかもしれません。
最悪の場合、削除を依頼した事実が逆に公開されてしまう可能性があり、これが新たな問題を引き起こすリスクにも・・・。
そのため、投稿者に直接コンタクトを取る際は、投稿者を逆上させないように、慎重になる必要があります。余計なトラブルを避けたい方は、専門家を通して手続きを行いましょう。
YouTubeに削除申請を行う
YouTube上で公開されている動画に不適切な内容が含まれている場合、ユーザーは運営に対して[違反の報告]を行うことができます。ユーザーが報告を行った内容に基づき、YouTubeの審査チームが検討し、ガイドラインに違反しているかどうかを判断します。
違反していると判断された場合は、コンテンツが削除されます。
弁護士に依頼する
YouTubeのコミュニティガイドラインに基づいて削除依頼を行っても、YouTubeが対応してくれないようなときは、弁護士に相談して、動画やコメントの削除を依頼することもできます。
そういった場合は、弁護士が裁判所に発信者情報開示や削除依頼の仮処分申立を行うのが一般的な流れです。法的手続きを通じて、投稿内容が権利侵害と認められれば、裁判所から投稿者に対して発信者情報開示や削除の仮処分命令が出されます。
弁護士であれば煩雑な法的手続きを一任できるため、素人が自力で対応するよりも削除の成功率が高いです。近年では、インターネット上の誹謗中傷の被害が増加していることから、これらの問題に特化した弁護士あるいは法律事務所が存在します。
場合によっては削除対象にならないこともある
本人にとっては誹謗中傷と感じる内容であっても、残念ながら必ずしも削除してもらえるわけではありません。
権利侵害と評価できない場合
被害を受けた本人にとっては、「これは絶対に私のことだ!」と感じるでしょう。しかし、他の人にとっては誰のことか分からない、特定できないという場合もあります。
開示請求が認められるためには、開示請求を行う個人の権利が侵害されたことが十分に明らかでなければなりません(プロバイダ制限責任法5条1項1号)。正当な批判である限り、たとえ内容が不快であっても、開示を受けることは難しいでしょう。
一方で、「○○さんは過去に事件を起こして逮捕されている」といった内容が動画内やコメントに含まれ、かつそれが社会的地位を傷つける恐れがある場合などは、開示が認められる可能性が高いです。
ただし、その動画やコメントが公共性や公益性を有し、かつその内容が真実である場合には、違法性がなくなり、開示を求めることはできません。
投稿から時間が経ちすぎている
悪質な動画やコメントが投稿された場合でも、一定の時間が経過すると開示請求が難しくなります。これは、プロバイダが保持しているログの保存期間が経過し、ログが残っていない可能性が高いためです。
ログの保存期間は各プロバイダによって異なりますが、一般的には3ヵ月から半年程度とされています。そのため、誹謗中傷に対する開示請求を行う際には、できるだけ早期に行動することが重要です。
まとめ
今回は、他人のYouTubeの動画やコメントで誹謗中傷を受けた場合の削除方法について説明しました。
YouTubeは世界的に人気のある動画共有プラットフォームですが、匿名性が高いため、他人に対して誹謗中傷する内容の動画やコメントが投稿される様子も多く見かけます。
もしも自分が誹謗中傷を受けてしまった場合、素早く対処できるように、対処方法をしっかりと理解しておくことが重要です。