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ネットリンチは正義感から起きている

あなたは“ネットリンチ”という言葉を聞いたことがあるだろうか。

IT用語が世の中に山ほど普及している現代で、聞いたことがない言葉がネットという言葉が付いていたら、恐らくIT用語だと推測した方も多いだろうが、こちらはただの造語である。

字があらわす通り、その意味はネットの中で起こる集団攻撃のことを指している。
このネットリンチという言葉、あまり聞き慣れないかもしれないが実はとても身近に起きているのである。
私たちは日々生きる中で様々な人間模様を経験し、同様に毎日ニュースでは悲しい事件が報道されている。
その一つの事件の裏で起こっているのが、ネットリンチなのだ。

願わくばあなたを含め、この記事を読んだ一人でも多くの人が人間は判断力がない生き物だと痛感してもらえるとありがたい。

リンチという抽象的な言葉

あまり聞きたくないという方も多いと思うが、リンチという言葉は直訳すると私刑を意味する。
つまり国家や法律で決められたルールに基づく裁きではなく、私的な価値観で制裁を加えるということだ。

語源はアメリカ独立戦争の時に暴力的だった、リンチ大佐から取ったという説が強い。
日本では私的な制裁は認めてない。どんな人でも法律の定めた手続きが無ければ刑罰を科せられない。というようなことが書いてある。

ただ実際日本で使う意味は少し違う。
リンチという言葉は集団暴力行為という意味が強い。
なので親の間違った価値観によるDVや虐待、個人の歪んだ価値観による他人への暴力は私刑でも日本ではリンチとは言わない。

突然の総攻撃

それは今年の10月に福岡県で起きた奇妙な出来事だった。
ある小さな建設会社の電話が突然鳴りやまなくなった。
電話口には怒号で『親父を出せ!』『ふざけるんじゃない』という言葉。
一日中、ずっとそんな電話が掛かってきて、通常の業務の電話が出来なくなるほどにコール数は膨れあがっていった。
建設会社の社長は身に覚えないがないまま、この奇妙な状態が何日か続いた。しばらくしてから理由がぼんやりと浮かび上がってきた。

それは電話が怒涛に掛かってくる前夜、日本で大々的に扱われたあるニュースが原因だった。

乗用車がワゴン車を煽り、高速道路上で車を停め、そのワゴン車に乗っていた夫婦が後から来たトラックに跳ねられて死亡したという事件。
この犯人とこの建設会社の社長の苗字が同じ、住所も近い、犯人の父親が建設会社の社長という家族構成だったため、勝手に犯人の父親だと決めつけられて、SNSに書き込まれていたためだった。

これにより日本全国から怒りの電話が鳴り続いていたのだった。
この突然の総攻撃は、まさに「寝耳に水」である。

ネットが国民を扇動する

初めは本当に誰かの何気ないつぶやきだったのだろう。

「犯人と建設会社の社長が苗字も住んでる地域も家族構成も同じだから親子ではないのか?」

発信した人は、本当にごく些細な個人の見解を書いただけなのだろう。
しかしその書き込みをみた人がまた更に色づけて発信していき、あっという間に日本全国にその建設会社の社長の名前と会社の電話番号が拡散されてしまった。
そして電話が鳴りやまない、奇妙な状態が生まれたのだ。

一度拡散された情報はデフォルトの発信とは異物のものとなり、国民の怒りに火をつけていった。
発信を受信した人が発信者になれるというSNS。
ひと昔前の新聞やラジオ、テレビなどの報道は一方的に流されるだけで、それを聞く国民の意見は拡散されないので個人の見解がなく広がっていくものだった。

しかし、ネットという自分の考えを発信できることにより、こういった事件が起きた時に個人の見解がふくまれて少しづつ形を変えながら広まっていくことはある意味とても危険だ。
便利なネットというものが人々をコメンテーターに変貌させ国民を扇動させる。

ネットリンチは正義感から起きる

なぜ建設会社の社長がある日突然、日本中から総攻撃を受けたのか。
確かに許されることない身勝手な男が起こした事件ではあるだろう。
しかしなぜ、その対象として父親がまつりあげられたのだろうか。

ある大学教授の解説によると、ネット上の炎上に書き込みをした人の7割は『許せなかった』という理由だったらしい。
つまり、正義感からの行動ということだ。

そしてその正義感が「自分が犯人を裁く」のだという私刑を生み、その刑罰代わりとして電話を掛けて文句をいうという行動につながったのだろう。
しかしネットの中のたった一言からどんどんと加速していく私刑に誰もが違和感を感じていないこと、なんの証拠もない情報、ましてや事件を起こした本人ではなく父親を攻撃することは果たして清浄化ということになるのだろうか。

個人の過剰な正義感、それが行き過ぎたときに人は判断力を失ってしまうのではないだろうか。

人は多くの意見者と同意したときに判断力というものではなく、群集心理で正義という旗を掲げてしまう生き物ではなかろうか。
過去にさかのぼれば、地動説を唱えながら多くの間違った天動説を唱えた学者に糾弾されたガリレオにしかり、被害者なのにメディアの過剰な報道により犯罪者扱いをされて最終的に奥さんまで亡くして妻殺しでも疑われてしまった松本サリン事件など、マジョリティー(多数派)にいつも正義があるとは限らないことを学ばないといけない。
マジョリティーが正義となったときに大多数攻撃として批判や制裁が始まっていくわけなのだから・・・。

正義感は中毒となるので恐ろしい

「叩かれるような悪い事をしたのだからしょうがないだろう」
「自分はただ悪い事を悪いと言っているだけ」
と考えてネット上で気が済むまで叩くネットリンチ民。

実はネットリンチによって対象者を攻撃している時、人の脳からは快楽物質のドーパミンが放出されていることが分かっているそうだ。
そして一度この快感を感じてしまうと中毒化し、次なる攻撃相手を探してしまう状態になってしまうんだとか。

つまり、正義感中毒となりネットリンチを辞めれなくなってしまうのだ。
これは非常に恐ろしいことである。

ネットリンチ・炎上は監視することで避けられる

今回の事件の場合は人が亡くなったこともあり着火からあっというまに大炎上したが、ほとんどの場合は小さな火種が起きた時にそのまま放置しておいたことで、火がどんどんと大きくなっていき大炎上となっていく。

普段からこまめにエゴサーチなどをして自社や自己を監視しておくことが大きな被害を避けることが出来る唯一の方法だ。

自分は平和に暮らしているから、風評被害やネットが炎上することなどないと流し読みするのはやめたほうが良い。
今回の被害にあった建設会社の社長だって何もしていない。
福岡から少し離れたところで静かに暮らしていただけなのだから。

業務にネットが関係ないというアナログな意見もやめたほうが良い。
自給自足をしていない限り、この日本では必ず誰かと関わらないと仕事は生まれない。
その誰かが自分の意図とはかけ離れたイメージを持ち始めたとしたら不安ではないだろうか。
その他の理由としてはネット監視の必要性5選!さらに放置するリスク5選!で詳しく説明してある。

この風評被害対策ラボではネット上でのトラブルに対してあらゆる対応策を長年の経験から対応できている。
監視に対しても独自のツールで監視システムを設けている。
自己のチカラで解決できなくて困っていることがあれば気軽に相談することもおススメしておこう。